その数学が戦略を決める Super Crunchers

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その数学が戦略を決める-イアン・エアーズ

原題 Super Crunchers: Why thinking-by-numbers is the new way to be smart.
なぜ数学的思考が新たな知性への道なのか?

図書館で借りておもしろかったので、Amazonで購入。

回帰分析やニューラルネット、データマイニング、無作為抽出、ベイズ確率などを使って世界を定量的に把握しようとするSuper Crunchers:絶対計算者の話。計算方法もそれを適用する分野も多岐に渡るので読んでいて飽きない。ヤバイ経済学が分析結果から得られる結論のヤバさにフォーカスしているとすれば、こちらはその一歩手前の分析で使うツールを面白く見せてくれる。訳者の山形浩生氏があとがきで参考文献と感想あげているのがかなり参考になります。
(あとがきが参考になるのは、書籍 数学で犯罪を解決する のほうでした)

統計学で使われる多くのツールは18世紀ごろには発明されていて、ベイズ定理(1763年)なんかも新しいものではないけど、21世紀になって計算機とネットの高速化、大容量化を背景に応用範囲がめちゃくちゃ広がってるんだぜ。ということなんだと思う。

  • 葡萄がワインになる前からビンテージワインの将来価格を正確に予測する
  • 出会い系サービス大手は回帰分析を使ってうまくいきそうなカップルをマッチングする。
  • カジノでは客の居住区の年収、人種、年齢、プレイ内容と勝敗を計算して、長期的にできるだけ多く金を使わせるよう対応する。
  • まだ監督も配役も決定していない脚本をニューラルネットにかけてその興行収入を誤差1億円程度で予測する。
  • クレジットカードの使用状況と返済状況から離婚率や自動車の事故率を算出できる。
  • Amazon.comは客によって販売価格を変える実験を行っている(現在は停止中らしい)
  • etc ..

    この本の話を友人にしたところ「興行収入を正確に予測できるなら、映画はより大衆受けするものに収束して面白くなくなるのではないか?」と言われた。これに対し著者は、収益リスクを今までよりも高い精度で判断できるのであれば、計画的な冒険(例えば4つの映画は手堅く作って、残り1本は実験的にやろう等)が可能になるのでむしろ逆だとも言っている。作れば売れる「いい時代」のように無謀な冒険で大きく当てるよりは、利に適っている気もする。冒険は常に無謀である必要はない。

    Posted: June 12th, 2010 | Author: | Filed under: 技術, | No Comments »

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